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石川直宏さん(元サッカー日本代表)が江東区立第一亀戸小学校で夢先生 ~JFAこころのプロジェクト~
2018年10月26日
「諦めずにコツコツやっていれば、チャンスが来たときにつかみ取れる」
5歳でサッカーを始め、12歳のときに国立競技場で観たJリーグの開幕戦に感動し「プロサッカー選手になる」と決めた石川直宏さん。18歳でその夢を叶え、さまざまな困難を乗り越えながらいくつもの目標を実現させてきました。
今年2018年1月に惜しまれながら現役を退き、現在はFC東京のクラブコミュニケーターとして活躍しています。その石川さんが10月24日、江東区立第一亀戸小学校の5年2組の教壇に立ちました。
“ナオ先生”が本格的にサッカーに取り組み始めたのは、中学生で加入した横浜マリノス(現 横浜F・マリノス)のジュニアユースから。「体が小さいことがコンプレックスだったから、嫌いな牛乳を飲み、小魚を食べ、お昼休みにはずーっと校庭の鉄棒にぶら下がっていた(笑)」と、当時の悩みを打ち明けました。
日々の取り組みが形となって表れ、ユースチームに昇格するのですが、ライバルが出現したこともあり、コーチから「君はプロにはなれない」と宣告。それでもめげずに「やるべきことをコツコツとやってきた」ナオ少年は、高校3年生で出場した全国大会でチャンスをつかみ、プロへの道を切り開きます。
高校卒業後、18歳でプロ契約。19歳のときにU-19日本代表に選出され、アジアの大会にも出場しました。それから3年後の2003年に念願の日本代表選手に選出。一つの目標が叶うと、次に「2006年のFIFAワールドカップ(ドイツ)に出場する」という新しい目標を立てました。そして懸命にトレーニングに打ち込むのです。
ところが、世界大会を9ヶ月後に控えた2005年9月、試合中に転倒し、右膝前十字靭帯を損傷。全治8ヶ月の大けがでした。当然、ドイツの大会は断念。長いリハビリ生活が始まります。
「現役復帰できるんだろうか ―― リハビリ中、何度も不安になった」と語るナオ先生。折れそうになる心に勇気を与えてくれたのは、FC東京の中継で映っていた「俺達はナオを待っている」という横断幕でした。
けがから10ヶ月。ついにナオ先生はピッチに復帰します。スタンドを見ると、今度は「俺達はナオを待っていた」という横断幕。それを見て、「もう一度ワールドカップを目指そう」と決意すると同時に、「自分のプレーで応援してくれるサポーターに笑顔と勇気を与える」という目標を掲げました。
ピッチに戻ってきた石川選手はJリーグでゴールを量産。そして、この年、実に5年半ぶりとなる日本代表メンバー入りを果たしたのです。FIFAワールドカップ南アフリカ大会前年の2009年のことでした。
真剣にナオ先生の話に耳を傾ける子どもたちから大きなどよめきが起こります。
ところがそのあとに「だけど、この年の10月にまた全治8ヶ月のけがをして、南アフリカ大会に間に合わなかったんだ」と聞くと、子どもたちは、「えーっ」「ショック」「まじ!?」と口々に落胆の声を発しました。
度重なるけがに悩まされながらも、FC東京のミッドフィルダーとして活躍してきたナオ先生ですが、昨年2017年12月3日、FC東京U-23のオーバーエイジ枠で出場したJ3の最終節を最後に現役を引退しました。
ナオ先生は子どもたちに向かってこう言います。「どんなときも夢は自分の支えになってきた。夢を叶えることも大切だけど、夢や目標に向かってチャレンジすること、そしてその夢を仲間と共有することが大事なんだ。自分の口で夢を発信することでみんなが支えてくれた」。
そして、「あとは、自分らしく!似たような人はいても同じ人はいない。みんな、オンリーワン。だから自分を信じてチャレンジしてほしい」とエールを送り、「トークの時間」を締めくくりました。
授業のあと、「一つ一つの言葉がビンビン心に響いた」と興奮気味に話してくれた男子児童のことを石川さんに話すと、嬉しそうに目を細めていました。
「夢の教室」
日本サッカー協会(JFA)の「JFAこころのプロジェクト」の活動で、各地の小・中学校の正課で実施している授業です。2007年に本格的にスタートし、これまでに13,000回を超えるの夢の教室を行ってきました。
クラスを受け持つ先生を「夢先生」といい、現役サッカー選手やプロ野球選手、プロテニスプレーヤーをはじめ、各競技のオリンピアン、パラリンピアン、そのOB・OG、さらにはアナウンサーやタレントなど多くの人材が名を連ねています。
授業は「ゲームの時間」と「トークの時間」から成り、ゲームの時間ではさまざまなゲーム(運動)を楽しみながら、ルールを守ることや力を合わせて目標を達成することなどを学びます。「トークの時間」は夢先生がこれまでの半生を振り返るもの。いつ、どんな夢を持ち、それを叶えるためにどういう努力をしてきたか、誰の言葉に勇気づけられたかなど、目標に向かって歩んできたそのプロセスを語ります。
JFAこころのプロジェクト
様々な競技の現役/OB/OGのスポーツ選手などを「夢先生」として学校へ派遣し、「夢を持つことやその夢に向かって努力することの大切さ」「仲間と協力することの大切さ」などをゲームと夢先生の体験談を通じて子どもたちに伝えています。
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