イラク代表戦での劇的勝利から5日後の10月11日(火)、SAMURAI BLUE(日本代表)はアウェイでオーストラリア代表との大一番を迎えた。勝点7で首位に立つ、グループ内最大のライバルとのアウェイゲーム。仮にこの試合に敗れれば、一気に窮地に追い込まれる可能性のあった重要な一戦だった。
この試合で日本は、これまでとは異なる戦術を見せる。開始5分、本田圭佑選手のスルーパスに抜け出した原口元気選手がいきなり先制ゴールをマーク。アジア最終予選3試合連続得点と、原口選手の勢いを感じさせるゴールだった。
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1点を奪った日本は、本来の攻撃性を抑制し、守備を意識した戦い方を展開。相手にボールを回されながらもボールホルダーに対する鋭いプレスと、カバーリングを徹底し、相手にほとんどチャンスを作らせない。空中戦にも粘り強く対応して、相手の特長を封じることにも成功した。
しかし1-0で迎えた後半立ち上がりに、エリア内で相手を倒してしまいPKを献上。これを決められて同点に追いつかれると、勢いに乗ったオーストラリアの攻勢にさらされてしまう。
それでもこの日の日本は、最後まで集中力が切れなかった。押し込まれながらもなんとかしのぎ、時折カウンターから勝ち越しのチャンスを得た。結局ゴールは奪えなかったものの、失点を許さず、1-1のドローで終了。
「戦術準備をして状況をコントロールし、素晴らしい試合をしました」と試合後にヴァイッド・ハリルホジッチ監督が語ったように、負けが許されない状況下で、守備的戦術を徹底し、日本は敵地で貴重な勝点1を得たのだった。
オマーン代表との強化試合を経て、11月15日(火)、日本代表は年内最終戦となるサウジアラビア代表戦をホームで迎えた。アジア最終予選の折り返し地点となるこの試合は、今後の行方を左右する重要な一戦となった。
この試合でハリルホジッチ監督は、オマーン戦で結果を残した大迫勇也選手をスタメンで起用。指揮官のこの狙いは、大きな成果を生み出すこととなる。
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前線で起点となる大迫選手を軸に、2列目の原口選手や清武選手が巧みに連動。厚みのある攻撃でサウジアラビアを自陣に押し込んだ。
そして前半終了間際、清武選手のシュートがエリア内で相手のハンドを誘ってPKを獲得。これを清武選手自身が冷静に決めて先制に成功すると、後半もペースを譲らずに次々にチャンスを創出。途中からは香川選手、本田選手もピッチに立ち存在感を放つと、80分には本田選手の縦パスに抜け出した長友佑都選手のクロスを、香川選手が流し、原口選手が4試合連続となるゴールを突き刺して、点差を2点に広げた。
終了間際に1点を返されたのは課題として残ったものの、危なげない戦いぶりで2-1とサウジアラビアを撃破。この結果、5試合を終えて3勝1分1敗とした日本は、首位サウジアラビアと同勝点の2位に浮上した。
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まさかの黒星スタートとなったものの、その後に巻き返し、ワールドカップ出場権圏内を確保して、2016年の戦いを終えた日本代表。その間、異なる戦術の採用や、新戦力の台頭を促すなどチームも活性化されており、勝負の2017年に向けて、有意義な前半戦となったのは想像に難くない。