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常に挑み続ける!これまでも これからも 2期目に向けて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.8~

2018年04月06日

常に挑み続ける!これまでも これからも 2期目に向けて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.8~

この度、日本サッカー協会(JFA)の会長として再任され、引き続き、JFAの舵取りを担うことになりました。

2016年に会長に就任してからの2年、マニフェストに掲げた施策を推し進めてきました。実現したもの、方向性を示せたもの、まだ時間がかかるものなどそれぞれありますが、この2年で全ての施策をスタートさせることができたと思っています。

目まぐるしく変化する現代社会において、サッカーのレベルも急速に向上し、またサッカーそれ自体も変化を遂げています。世界トップを目指す日本サッカー界としては、その潮流に乗り遅れることなく対応していかなければなりません。アジアを見ても、これまでアジアサッカーをけん引してきた強豪国に加え、ウズベキスタンやタイ、ベトナムといった新興国が台頭してきました。また、アジアの経済成長を受けてサッカーに投資する国が増えてきており、中国などは学校体育にサッカーを取り入れて普及と育成、強化を図っています。日本も手をこまねいているわけにはいきませんし、これまでの活動の継続というだけでは立ち遅れてしまうのではないかと危機感を持っています。

日本サッカーの今後については、2020年の東京オリンピックが重要な鍵を握るでしょう。男女ともにここで何としても好成績を挙げ、そのレガシーを次の日本サッカーの発展につなげなければなりません。SAMURAI BLUEも世代交代の時期を迎えていますので、これまで以上に若手選手の国際経験の機会を増やしていく考えです。

指導者養成については、今年、UEFA(ヨーロッパサッカー連盟)のA級、B級ライセンス講習会を実施し、そのレベルアップを図ります。現在のところ、JFAの指導者ライセンスは欧州のそれと互換性がありませんので、同等のライセンスとして認められるようなものにしたいと考えています。

世界トップを目指そうとすればするほど、やるべきことが湧き出てくるという実感を持っています。変化を恐れることなくチャレンジし続けます。

一方で、どんなに世の中が変わろうと、変えてはならないものがあります。それは、言うまでもなく「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全なる発達と社会の発展に貢献する」というJFAの理念です。

スポーツは、健康増進や地域コミュニティの醸成、教育の分野でも極めて重要な役割を果たすもので、少子高齢化が進む日本にとって益々欠かせないものになっていくでしょう。グラスルーツサッカーの推進や「JFAこころのプロジェクト」をはじめとする子どもたちの心身の健全な育成、フェアプレーやリスペクト精神の涵養、健康増進のための活動やケガ予防、アンチドーピングなどスポーツ医学との連携、アジア貢献活動も各国との交流やJFAの国際化にとって不可欠な仕事です。そういった意味で、もう一度、「JFA2005年宣言」に立ち返り、それを策定したときの情熱を呼び覚ましたいと思っています。

日本サッカーは、指導者や審判をはじめとする多くのボランティアの皆さんの熱意によって成り立っています。日本サッカーを支えていただいている皆さんと手を携え、知恵を出し合い、グラスルーツからトップレベルのサッカー、そして、JFAや47FAのガバナンス、環境整備など全てにおいてグローバル・スタンダードを追い求めながら、日本のスポーツの発展のためにまい進していきます。

今後取り組むべき課題

1.日本サッカー協会の存在意義とサッカーの価値の向上、発信

日本サッカー協会(JFA)は日本で唯一、サッカーの統括を委ねられた組織です。公益財団法人として責任を持って日本サッカー全体の発展を促進することはもちろん、Jリーグからグラスルーツに至る多くのサッカーファミリーやステークホルダーを支えていく義務があります。また、サッカーは世界で最も愛されているスポーツと言われるだけに社会的にも大きな影響力あります。スポーツ界、そして社会に対する責任を強く認識し、職員一人ひとりが広い視野とサッカーに対する情熱を持って業務に取り組んでいきます。

2.将来に向けた47FAの自立的発展、活性化の推進

JFAの施策を47の都道府県サッカー協会(FA)に適合した形で実践し、47FAが能動的な発展をデザイン・実行していくことをサポートします。

2017年度に引き続き、還元金制度の改革を進めるとともに、マーケティングの強化、FAの状況等に合わせた補助金の支給、国際親善試合や各種イベント等JFA事業の地域開催、9地域FAを対象としたタウンミーティングなどを実施するほか、47FAでの1級審判員の養成やユースダイレクターの選任化、代表チームに選手を送り出しているチームへのトレーニング補償制度についても検討していきます。

3.魅力ある代表

日本代表とJリーグは車の両輪です。JFAとJリーグが手を携え、魅力ある日本サッカーをつくり上げていかなければなりません。SAMURAI BLUE(日本代表)やなでしこジャパンの強化はもちろん、次世代の各カテゴリー日本代表の成長につなげるべく、日本サッカーを取り巻く全てにおいて「世界基準」を追求していきます。また、地元開催となる東京2020に向けた準備も進め、男女ともに同大会でメダル獲得を目指すとともに、大会のレガシーを次世代の日本代表の成長と日本サッカーのさらなる発展につなげます。

4.女子サッカー

日本サッカーの発展にとって女子サッカーは大きな鍵を握ります。なでしこジャパンの強化をはじめ、あらゆる世代の女性がサッカーに親しめるような環境をつくるべく、女子サッカーの構造改革を行います。具体的には、現在進めている国体に「少年女子(U-16)」を創設し、中学年代の登録人口の拡大につなげること、また、普及コーディネーターを活用した環境整備や女性指導者の養成、30代や40代を対象にしたレディースサッカーの充実など、日本が世界の女子サッカーをリードする存在になるべく取り組んでいきます。

5.育成日本復活

代表強化、ユース育成、指導者養成の「三位一体」の強化策をしっかり機能させるとともに、技術委員会で得た知見や分析結果等をJリーグアカデミーや高体連、中体連、クラブユース連盟、U-12年代等にフィードバックし、日本サッカー全体で「世界基準」を推し進めます。また、トレセンも日本の育成を支える重要な活動ですのでこれをより充実させ、有能な選手を輩出する土壌を広げていきます。

6.グラスルーツの推進とフットボールファミリーの拡大

少子化の影響がU-12年代の登録人口の減少に表れてきました。これを食い止めるにはキッズ年代に対してしっかり種を蒔くことが重要です。巡回指導をはじめとする普及活動や外遊びの推進など、これまで以上に推し進めていきます。また、「Players First」の観点から登録制度を見直し、緩和策を講ずることを含め、子どもたちが気軽にサッカーを楽しめる環境をつくっていきます。部活動についても文部科学省、スポーツ庁、教育委員会等と連携して適切なガイドラインを作成。JFAライセンスを保持する外部指導者、部活動指導員の配置を進めていきたいと考えています。さらに、小学校体育サポートプログラムに加え、中学校のプログラム策定にも取り組むことにしています。

一方でシニアの登録人口は増加傾向にありますので、レディースサッカーと平行して環境整備を行います。また、障がい者サッカー連盟と連携し、障がい者スポーツの発展に力を尽くしていきます。

7.各種連盟のサポート

二巡目となるフットボールセンター整備助成事業の積み立てと(仮称)JFAナショナルフットボールセンターの積み立てが終了しました。またJFA/Jリーグ協働育成プログラム(JJP)も終了(一部継続)し、2019年から新たな事業展開が可能となります。各種連盟に対する具体的なサポートを検討し、予算を確保します。代表選手を育成してくれた団体・チームへのトレーニング補償制度を構築すると同時に、少年団やU-12年代のチームにも支払われる仕組みを検討したいと考えています。

また、技術委員会の知見や国際大会等を通じて得た情報などを社会人や大学連盟、高体連やクラブユースにもフィードバックし、日本サッカーのボトムアップを図ります。

8.日本サッカーの発展を担う人材、世界で活躍する人材の養成

世界トップを目指すには選手の強化だけではなく、指導者、審判員、ドクター、トレーナー、役職員などサッカーに関わるあらゆる人材を世界レベルに養成することが不可欠です。2018年はヨーロッパサッカー連盟(UEFA)と協力してB級コーチングコースを開催。将来はA級、プロディプロマのコースに参加できるよう、JFAのコーチングコースをブラッシュアップします。また、女性指導者の養成、審判デベロップメントオフィサーの配置も進めていきます。

選手のけが予防やリハビリテーションの発展ともに、高齢化社会に対応した健康増進のためのスポーツ活動やアンチドーピングの意識啓発などスポーツ医科学との連携も重要です。一部地域で進められているメディカルマネージャーの制度をJFAとしてどのように取り入れられるかについても議論していきたいと考えています。 

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