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ACL2021東地区グループステージ、22日の名古屋戦でスタート
2021年06月21日
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2021の東地区のグループステージがいよいよ6月22日(火)から始まります。日本からはJリーグ王者の川崎フロンターレをはじめ、ガンバ大阪、名古屋グランパス、セレッソ大阪の4クラブが出場し、アジアクラブ王座獲得を目指して戦います。
今回は新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響を受けて、従来のホーム&アウェイ方式から1都市集中開催方式に変更され、川崎のグループIとガンバ大阪のグループHがウズベキスタンのタシュケントで、名古屋のグループGとセレッソ大阪のグループJがそれぞれタイのバンコクとブリーラムでの開催です。
ACLは今季、昨季までの32チームから40チームに拡大。4チームずつ10グループ、東西地区で5グループずつに分かれてグループステージを戦い、各組1位と2位の中で各地区上位3チームの合計16チームがノックアウトステージへ進出します。昨季までは各組2位までがベスト16へ進出できていただけに、首位突破を目指してより激しい戦いとなっています。
ノックアウトステージではラウンド16と準々決勝は1戦必勝方式となり、ホーム&アウェイ方式は適用されません。しかし、準決勝と決勝はホーム&アウェイで行われる予定です。なお、交代は1試合最大5人までの適用が認められています。
名古屋マッシモ監督、瞬時の対応力を重視
日本勢の先陣を切って6月22日に登場するのは、グループGの名古屋です。昨季リーグ3位に入り、16強へ進出した2012年大会以来9年ぶりで通算4度目の出場となりました。
名古屋は初戦でマレーシアリーグ6連覇中のジョホール・ダルル・タクジム(JDT)と対戦し、その後、2016年大会以来5年ぶり出場の浦項スティーラーズ(韓国)、初出場のラチャブリFC(タイ)と戦います。
JDTは昨年の大会では、コロナ禍の影響で政府からの渡航許可が下りずに辞退した経緯があり、3年連続3度目の出場となった今大会では昨年の悔しさをぶつけてきそうです。
メキシコ出身のベンハミン・モラ監督の下、ブラジル出身FWベルクソン選手、アルゼンチン出身MFレアンドロ・ベラスケス選手、スペイン出身MFナチョ・インサ選手をはじめ、マレーシア代表選手も多く擁しています。
グループ最大ライバルとなりそうなのは2戦目に対戦する浦項で、2016年大会以来で通算8度目の出場で、2度の8強入りを含め2009年には優勝の経験もあり、現在Kリーグでは5位に付けています。チームにはコロンビア出身FWパラシオス選手や、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ出身MFマリオ・クベシッチ選手、韓国代表でチーム最多得点のFWソン・ミンキュ選手らがいます。
また、3戦目で対戦するラチャブリは、国内リーグ(2012年)やFAカップ(2016年)での優勝経験もあり、地元クラブとして地の利を活かして臨んできそうです。
名古屋は2009年大会ではベスト4。2011年と2012年は16強に進出し、出場した過去の大会では全てノックアウトステージへ進出しています。今回、FW金崎夢生選手とDF丸山祐市選手を負傷で欠いての戦いになりますが、FWマテウス選手やU-24日本代表でも活躍するMF相馬勇紀選手らを擁しており、現在Jリーグで2位をキープ。9日の天皇杯2回戦でも三菱FCに5-0と勝利しました。
チームを率いるマッシモ・フィッカデンティ監督は、「短期間で6試合という濃い日程なので、どれだけ気持ちを充実させて勝つために戦えるか。そこを丁寧に準備したい」と話しています。
日本のチームとは異なるタイプの対戦相手をはじめ、暑さや連戦で変化しそうなピッチコンディションなどにも「あらゆる状況に瞬時に対応できる能力が問われる。対戦相手も試合に入っての肌感覚で瞬時に理解をして戦う必要がある」とチームの対応力を求めています。
指揮官は、「チームには『勝ちに行く』という気合が入っている」とチームの状態に手ごたえを示し、連戦での選手の消耗や回復具合などを考慮しながら、臨みたいとしています。
川崎、悲願のアジア初タイトルへ
昨季2年ぶり3度目のJリーグ制覇と天皇杯優勝の2冠を飾った川崎は2年ぶり8度目の出場です。過去最高成績は2007年、2009年、2017年の8強進出ですが、2018年2019年はグループステージ敗退。今大会は雪辱を期し、アジア初タイトル獲得を目指しています。
グループIで対戦するのは大邱FC(韓国)、北京FC(中国)、セレス・ネグロスFCから改名したフィリピンリーグ4連覇で初出場のユナイテッド・シティFCです。
26日の初戦の相手である大邱は、オーストラリア勢の出場辞退により予選免除となり、2019年以来で通算2度の本戦出場です。国内リーグでは5位に付け、日本人MF西翼選手やブラジル出身3選手を前線に擁しています。
北京は8強入りした昨季に続いて通算10回目の出場で、フランス代表FWセドリック・バカンブー選手、ブラジル代表MFレナト・アウグスト選手、中国代表DFユ・ダーバオ選手らを擁して国内リーグ昨季3位、一昨年2位など近年安定して上位に付けており、ACLでも要警戒の相手です。
川崎は大会直前になって主力メンバーのMF田中碧選手が帯同しないことになりましたが、負傷で戦列から離れていたMF大島僚太選手、MF山村和也選手が復帰してきていることは大きなプラス材料です。
鬼木達監督は指揮官として自身3度目の挑戦となるACLへ向けて、「アジアの舞台でどれだけできるか、自分たちにも期待しているし、チームも選手ももう一段上へ行くために必要なタイトル」と語っています。
FW小林悠選手は過去の大会で思うような結果を出せなかったことから、「強度を保たないといけない。そこが今まで失敗してきた要因」と指摘し、進化してきた川崎のプレースタイルに言及して「このスタイルでどれだけできるか」と気合とともに自信を滲ませています。
DFジェジエウ選手は「自分たちのサッカーがアジアでどれだけ通用するか示したい。タイトルを取ればフロンターレの歴史が1つ変わる」と静かな口調ながら強い意気込みを示しています。
G大阪松波監督「初戦の入りが大事」
ガンバ大阪はグループHでは韓国王者の全北現代モータース、シンガポールのタンピネス・ローバーズFC、地元タイのチェンライ・ユナイテッドと対戦します。
最大の難敵は全北現代でしょう。昨年は出場13回目で2012年以来2度目のグループステージ敗退でしたが、優勝2回、準優勝1回、4強1回などアジアの舞台で実績を残しています。国内リーグでは現在2位に付け、チームの得点源のロシア出身FWスタニスラフ・イルチェンコ選手、Jリーグでも活躍した韓国代表MFキム・ボギョン選手、昨季から加入の福岡出身MF邦本宜裕選手らを擁しています。
タンピネスはシンガポールリーグ2位で初出場ですが、8度の国内リーグ制覇やASEANクラブカップ優勝(2005年)、AFCカップ8強などの経験もあり、セルビアやモンテネグロ出身の攻撃陣や日本人MF仲村京雅選手が所属しています。一方、チェンライはシドニーFCの辞退により、タイFAカップ優勝者として本戦出場権を獲得。初出場の昨年はグループステージ敗退に終わりましたが、今回は気候など地の利を活かして戦えそうです。
G大阪は昨季Jリーグ2位で4年ぶり10回目の出場で、過去には2008年大会優勝、2015年ベスト4という成績を残しています。現在Jリーグでは17位ですが、今季途中から指揮を執る松波正信監督のもと、直近16日の天皇杯を含めて公式戦4試合を3勝1分けと、チームの調子は右肩上がりです。
G大阪FW宇佐美貴史選手は、「タイトルを獲るためにもJリーグに続けるためにもチームには重要な舞台」と話し、DF三浦弦太選手は海外の異なるタイプの相手との対戦に「楽しみ。しっかりゼロ(無失点)で終わらせることにこだわってやりたい」と意気込みを示していました。
松波監督は「初戦の入りが大事になる。シンガポールやタイのチームは勢いがあると思うが、そこを乗り切れば全北戦へもうまく入れる」と初戦で好スタートを切りたいとしています。
C大阪クルピ監督、「総合力を示す大会になる」
セレッソ大阪はメルボルン・シティ(オーストラリア)の出場辞退で予選免除となり、3年ぶり4回目の出場です。2011年には8強、2014年は16強に進出しましたが、今回グループステージ突破へ、6月24日の初戦で2度のACL制覇の経験がある広州FCと対戦します。
広州は昨年の集中開催となった大会ではグループステージ敗退に終わりましたが、2013年と2015年に優勝したほか、4強1回、8強3回とアジアの舞台で力を示してきました。セレッソにとっては2018年大会のグループステージで対戦し、1分1敗で16強進出を阻まれた相手です。
元イタリア代表DFのファビオ・カンナバーロ監督が率いるチームには、元ブラジル代表FWリカルド・グラル選手、FWエウケソン選手、元中国代表MFジョン・ジー選手が健在。ほかにも中国代表歴のある選手やブラジル出身選手を揃えています。
セレッソはその後、香港リーグ王者の傑志、地元バンコクのポートFCとの対戦となります。傑志は、韓国や中国でプレーしたモンテネグロ出身FWデヤン・ダムヤノビッチ選手が今年加入し、攻撃の要として国内リーグで活躍。チームは2018年大会で柏から勝利を挙げて大会初勝利をマークしたこともあり、侮れません。今回初出場のポートもタイでカップ戦を多く制し、国内リーグ戦でも過去3シーズンで3位に入っています。
セレッソは、リーグ戦では5月末までの6試合で勝星がなく12位と苦戦していますが、6月の天皇杯2回戦ではFW大久保嘉人選手、MF奥埜博亮選手の得点で鳥取に勝ち、勝利の流れでACLへ臨めます。オーストラリア代表FWアダム・タガート選手と韓国代表GKキム・ジンヒョン選手も、代表活動を終えて現地でチームに合流する予定です。
「自分にとってはワールドカップに臨むような気持ち」と強い意気込みを示すレヴィ・クルピ監督は、「短期間に6試合ある。これを勝ち抜くには前向きに臨む気持ちの面が重要になるし、選手全体の総合力を示す大会になる」と話しています。
また、SAMURAI BLUE(日本代表)の6月の国際試合シリーズで活躍したMF坂元達裕選手は、「ACLでは日本のサッカーとは違う球際やスピード感があると思う。代表でプレーして自分の中で基準を感じた」と話し、「どれくらい通用するか楽しみ」と語りました。
制限のある集中開催にも強気
昨年に続き、いずれのグループでもホテルと練習場や試合会場のみに行動が限定される「バブル」方式での感染防止対策の下、16日間に中2日で6試合をこなすハードな日程での戦いで、精神面でのケアも重要な要素になりそうです。
G大阪の宇佐美選手は「どんなトラブルも笑い飛ばすぐらいの勢いでいく」と話し、川崎の小林選手も「移動がないのでポジティブ。隔離を気にしても良くない。1人の時間をゆっくり過ごしたい」と前向きにとらえていました。
なお、日本勢のいないグループFは昨年大会優勝の蔚山現代(韓国)、ベトテルFC(ベトナム)、BCパトゥム・ユナイテッド(タイ)、23日の予選勝ち上がりの上海ポートFC(中国)またはカヤFCイロイロ(フィリピン)の組み合わせで、6月26日から7月11日までバンコクで戦います。
また、西地区のグループステージは4月14日~5月1日に開催され、各組首位のFCイスティクロル(タジキスタン)、シャルジャ(UAE)、エステグラル(イラン)、アルナスル(サウジアラビア)、ペルセポリス(イラン)と2位で上位3チームに入ったアルワフダ(UAE)、トラクトール(イラン)、アルヒラル(サウジアラビア)の8チームがラウンド16へ駒を進めています。