一般社団法人はーとプロジェクト(愛知県江南市)
賛同するテーマ
団体の理念・ビジョン・方針
一般社団法人はーとプロジェクトは、児童発達支援センター、放課後等デイサービス、生活介護、就労継続支援B型、居宅介護、居宅介護支援、相談支援事業所を運営し、障がい児者の日常生活、および社会生活を総合的に支援するための法律や児童福祉法、介護保険法に基づき、障がい児者の自立支援、および福祉支援を行うと共に、地域での共生や福祉の活性化を図ることを理念とします。また、年齢や性別を問わずスポーツ、特にフットサルやサッカーを通じて上記の理念を実現しようとする広義の社会的資源として活動しています。
主な活動内容
一般社団法人はーとプロジェクトでは、Barça FoundationのFutbolNetを援用しながら健常児と障がい児がともに活動するISHF(アイシフ)と、障がいの有無や年齢、性別を問わず誰もが参加できる「フットサル 大人の部」を運営しています。
私達のグラスルーツ宣言
私たち一般社団法人はーとプロジェクトは、「引退なし」、「障がい者サッカー」、「社会課題への取り組み」をグラスルーツ宣言として掲げ、サッカーやフットサルを通じて地域に住まう人々が年齢や性別、抱えている困難の有無にかかわらず社会に参加するための一助となり、差別のない共生社会の創生を実現していきます。
上記宣言を具現化するための活動内容
☐引退なし
はーとプロジェクトでは、毎週木曜日17:00~19:00、KTXアリーナ(江南市スポーツセンター)にて7~15歳の子どもたちが参加するISHF(アイシフ)、月に1回19:00~21:00、大口町屋内運動場にて小学生から64歳までが参加する「フットサル 大人の部」の活動(2021年度はコロナウイルス感染予防の観点から「フットサル 大人の部」は休止。2022年度、感染状況やワクチン接種状況を鑑みて活動再開予定)を通じて、年齢の下限・上限を設けず生涯「引退なし」で誰もが参加できる環境を整えている。それぞれの活動は、Barça FoundationのFutbolNetをメソッドとして取り入れている。参加者は活動の中で、FCバルセロナが定義する謙虚、努力、野心、敬意、チームワークといった五つの価値を共有・認識する。私たちは、子どもから高齢者に至る参加者が、そこで体感し獲得した事柄を活動から離れた実生活へフィードバックできるような空間を創出し、年齢や学年といった概念・枠組みによって分断されず生涯にわたって自己肯定感と他者性を育み、相互理解と社会的包摂に結び付く活動を実践している。
☐障がい者サッカー
私たちは、JFAのキッズリーダー、C級、D級ライセンスホルダーだけでなく、公認障がい者スポーツ指導員、医療従事者(看護師)、福祉専門職(介護福祉士、児童指導員、社会福祉士、相談支援専門員)をスタッフとして配置し、健常児者、障がい児者双方がISHF、「フットサル 大人の部」の活動へ自身の自由意思に基づき、安心して参加できるインクルーシブ活動に取り組んでいる。インクルーシブ活動の中核となるメソッドは「引退なし」で記載したBarça FoundationのFutbolNetであり、JFAの「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」という理念を活動の推進力としている。私たちは、障がいの有無、年齢、性別、偏見や差別などによって分断されず、全ての参加者が社会参加し、個々の自己実現を達成する一助となることを目標の一つとしている。また、JFAライセンス指導者は、ライセンス講習会における発育発達から指導者の役割に至る学び・経験をスタッフ、参加者、家族へ継続的にフィードバックしている。個々の課題や障がい特性、困難に応じて活動中に紹介しているコア・エクササイズやムーブメント・プレパレーションは、活動を離れた自宅や職場における自発的な取り組みにつながっていると家族や支援者から報告があり、彼・彼女たちの生活に寄与している。一方、これまでの人生でサッカーやフットサルに縁がなかったスタッフにとって、JFAが発信する発育発達の概念やコーチング理論は、個々の参加者に対する理解・関わり方の向上だけでなく、アクティビティごとに設定する目的やキーファクターの理解へ徐々に結びつきを見せ、「何ができていないか」ということへ焦点を合わせる傾向から「何ができているか」を発見しその場で褒め、「何をどうすればより良くなるか」個々に向かってチャレンジを促し参加者の達成感や自己肯定感、満足度の向上につなげている。
☐社会課題の取り組み
ISHF(アイシフ)、「大人の部」双方とも、社会に存在する差別や偏見といった障壁を取り払うために障がい児者も健常児者も参加できるインクルーシブ活動を展開している。それは、営利活動に基づくものではなく、地域社会に住む人々が相互理解、受容、共感に至るプロセスを経験し、享受するための非営利活動である。2021年度、コロナ禍の影響で参加者に増減はあったもののISHFは3月末時点で19名(健常児6名、障がい児13名、男子17名、女子2名)が参加している。「フットサル 大人の部」はコロナ禍にて活動休止になったが依然としてニーズは高く2022年度に再開予定となっている。このインクルーシブ活動において年齢や性差、障がいの有無に基づく差別や偏見は乗り越える対象であり、個性や特徴が異なる人々が共存して生きる「共生社会」の実現を目指す実践的な空間となっている。私たちがインクルーシブ活動のメソッドとして援用しているBarça FoundationのFutbolNetに関して、2020年12月、「バルサ財団が主催するFUTBOLNET方法論の多様性についての専門トレーニングコース(25時間)」を受講し修了した。このプロセスで、健常児者のみならず視覚障がいから精神疾患まであらゆる機能的多様性を持つ参加者が、同じ空間で差別や偏見といった既存の壁を壊しながら主役として活動に参加するための具体的な方法を学ぶことができた。さらに江南市議会から「福祉の現状と今後について」研修会講師依頼があったことを受け、2021年2月3日、JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度に基づいた弊社における共生社会の実現に向けた取り組みを報告するに至った。また、2021年3月18日Barça Foundation Methodological Coordinatorの井上由惟子氏が2回目のフォローアップで視察され、継続的な取り組みに対する評価とともに、参加者がFCバルセロナの掲げる謙虚、努力、野心、敬意、チームワークといった価値観を活動や実生活に活かせるような声掛けや促し方、集団で活動することの意義を子どもたち自身が見出せるエデュケーターの関わり方等、包摂的な活動をより良いものにするための助言を受けることができた。最後に、どのようにすれば障がいを持つ子ども達が差別・偏見の対象とならずそれぞれの個性を生かしながら学校生活の場において困り感なく過ごすことができるのか、という疑問や、どのような方法を用いれば子どもたちが安心・安全に活動へ参加できるのか、という問題意識を持った近隣市区町村の学校教育課職員、小中学校の教員が活動見学で訪問してくれる機会が増えたことを挙げたい。子どもたちが1日の大半を過ごす学校教育の現場からの質問、悩みに耳を傾け真摯に向かい合いアイデアや経験を共有することで、地域社会における共生という大きな課題に新しい風を送り込むことのできる社会資源の一つとして、今後も上記した社会課題に取り組んでいくこととする。