Canadaカナダ代表
About Qualifier予選の戦いについて
初出場だった北京五輪でベスト8、さらにロンドン、リオと続けて銅メダルを獲得しているカナダ。4大会連続の出場を目指して2020年1月から2月にかけて行われた北中米カリブ海女子オリンピック予選トーナメントに臨んだ。
デンマーク人のケネス・ハイナー・メラー監督に率いられた“ビッグレッド“は、グループBでメキシコ、ジャマイカ、セントクリストファー・ネイビスの3カ国と対戦して3連勝。
初戦ではFWアドリアナ・レオンの4得点などで、セントクリストファー・ネイビスに11-0の大勝を飾ると、ジャマイカには9-0と連勝。メキシコとの3試合目も前半にFWシンクレア、DFザドルスキーが得点、メキシコの反撃を許さず2-0で勝利、3連勝で準決勝に進出。
五輪の切符をかけた準決勝、対戦相手はコスタリカ。得意のサイドアタックからなかなかゴールが決まらず、カウンターから何度かピンチにあったものの、72分に途中出場のFWダイアン・ローズが上げたグラウンダーのクロスを、FWウイテマがボックス内でボールをコントロールしながらGKを外して、ゴールに流し込んだ。最後の猛攻をしのいで、苦しみながらも1-0で勝利、東京五輪の切符を勝ち取った。
既に出場が決まった両国の対戦となった決勝では、アメリカに3-0で敗れたもの、十分に力を示して予選突破を決めた。
Match Previewマッチプレビュー
“なでしこジャパン“にとって、非常に大事な初戦の相手となる“ビッグレッド“。
日本は銀メダルを獲得したロンドン五輪で、カナダとグループリーグで対戦している。澤穂希のパスを起点に、大野忍のヒールパスを受けた川澄奈穂美が先制ゴールを上げ、更に左サイドからのロングボールを宮間あやがヘディングで決めてリードを2点に広げた。後半に左サイドを崩され1点返されたものの、2-1と勝利した。
当時のメンバーで残っているのは現キャプテンのDF熊谷紗希と、10番を背負うFW岩渕真奈。カナダには、代表182ゴールを記録している38歳のFWクリスティン・シンクレア、中盤の重鎮MFデジリ・スコットがいる。
最近では2018年のアルガルベカップでカナダが2-0と勝利、翌年10月に日本で行われた親善試合では4-0と日本が快勝している。
今回のオリンピック本番は準備期間を経て入るため、コンディション面などを考えると上記の対戦成績は参考にしにくい。日本は前回対戦のスタメン11人が東京五輪メンバーに全員選ばれており、カナダも主力の多くが当時から変わらず揃っていることから、お互い知った同士の対戦になるだろう。
カナダは持ち前のスピードとパワーを武器としながら、チェルシー所属MFフレミングなど、テクニカルなタレントを織り交ぜた崩しも身に付けており、基本4バックながら相手に応じて5バック気味の形も採用するなど戦術的にも柔軟で、ダイアン・ローズのようにFW登録ながら右サイドバックなど複数ポジションをこなせるタレントもいる。しかし、やはり最も注意すべきはシンクレアなど前線のアタッカーに向けた縦のロングパス。キャプテン熊谷を中心にそこを潰しながら、MF中島依美、MF三浦成美らのボランチが高い位置からプレッシャーをかけて行きたい。
守備面では173cmのDFザドルスキー、パワフルな対人守備が武器のDFブキャナンという二枚看板を揃えており、シンプルなロングボールやクロスはほぼ通用しないだろう。幅のある組み立てを起点に、“なでしこジャパン“特有の素早いコンビネーションで掻い潜って行きたい。そうした形で先制点を上げたいが、鍵を握るのはセットプレーの攻防だ。
カナダは高さで日本を大きく上回るため、CKや危険な位置でFKを与えるとかなり苦しい。そうした状況をなるべく減らしつつ、熊谷やDF宝田沙織などがターゲットを封じながら粘り強く守って行きたい。攻撃ではトリッキーな形を仕込んで臨むはずで、中島の正確なキックを頼りに、クイックネスを駆使した形で得点出来れば大きい。
今大会はコロナ禍の特別ルールで5枚の交代が可能だ。札幌ドーム開催のため、暑さはそれほど問題にならないが、試合終盤、疲労でオープンな展開になってくると、お互いゴール前でのチャンスが生まれるスリリングな展開も予想される。
ただし、12カ国を3つの組に分けて行うグループリーグは、各組3位でも、その内の成績上位2カ国まではグループリーグ突破出来るので、無理に勝ち点3を狙ってリスクを負う必要はない。例えば、70分過ぎまでは共に勝ち点3を狙うが、終盤でリスクを意識した展開に変容することも考えられる。
初戦での勝ち点3を狙うには、後半の早い時間帯までに先制点をあげ、焦るカナダの裏をつく形でカウンターから追加点を奪えれば理想的だろう。しかし、試合展開によっては、最低限の勝ち点1を失わず試合をクローズさせるかという戦い方も大事になるだろう。