チームヒストリー
2021.10
2021

池田太監督就任

第32回オリンピック競技大会(2020/東京)閉幕から約2カ月、なでしこジャパンの新監督に池田太氏が就任した。

FIFA U-20女子ワールドカップフランス2018でU-20日本女子代表を優勝に導いた池田監督は、1981年の日本女子代表結成から40年の節目に「ここから未来へつなげていくために、なでしこジャパンを一歩前に進めなければいけない」と意気込み、「世界一を奪還する」と就任会見で力強く宣言。その後、元なでしこジャパンの宮本ともみコーチなどスタッフ陣が発表され、高円宮記念JFA夢フィールドでのトレーニングキャンプに23名が招集された。

2021.11

初陣 国際親善試合(アイスランド、オランダ)

再びの世界一を目指し、池田太監督が率いる新生なでしこジャパンがオランダ遠征で初の公式戦を迎えた。10月のトレーニングキャンプから発信してきた「奪う」というコンセプトをベースに、初陣のアイスランド戦は0-2で敗れるも、FIFAランキング4位(当時)の強豪オランダに0-0で引き分け、池田監督は「守備や攻撃での共通理解を選手たちと共有できた」とチームの上積みを感じながら「世界で戦う上での質を上げていかなければならない部分は多々ある」と課題も口にした。今遠征でGK田中桃子、成宮唯がなでしこジャパンデビューを果たし、約2カ月後に開催されるAFC女子アジアカップインド2022に向けても貴重な2試合となった。

2022.01
2022

アジアカップ ワールドカップ出場権獲得も、準決勝敗退

FIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023のアジア地区予選を兼ねたAFC女子アジアカップインド2022で、日本はグループステージを2勝1分けの1位で突破する。続く準々決勝・タイ戦では菅澤優衣香の4得点などで7-0の快勝を収め、9大会連続9回目の女子ワールドカップ出場を決めた。しかし、大会3連覇を狙う日本は準決勝の中国戦で2-2(PK3-4)と惜敗。池田太監督は「得点を決め切るところや、時間帯を考えてしっかりゲームコントロールする部分はもっと磨いていきたい」と悔しさを滲ませた一方、今大会5得点の植木理子や中盤で攻守の要となった長野風花など、池田監督と育成世代の代表チームで戦ってきた選手たちがなでしこジャパンに新たな風を吹かせた。

2022.06

親善試合(セルビア、フィンランド)

出場権を獲得した女子ワールドカップに向けて本格的に強化を進める日本は、セルビアとフィンランドに遠征し、再びチーム力向上を目指した。閉幕したばかりの1年目のWEリーグ後期で活躍した千葉玲海菜が初の代表選出となった。セルビア戦では千葉がデビュー戦で初ゴールを決めたほか、アメリカでプレーする杉田妃和も存在感を示し、5-0の快勝を収めた。中2日で迎えたフィンランド戦は、遠藤純が相手のオウンゴールを呼び込み先制すると、再び後半にゴールラッシュとなり5-1で2連勝。今遠征で1得点ずつを決めた植木理子は、これで5試合連続ゴールとなり、池田太監督が志向するアグレッシブなサッカーで「いろいろなコンビネーションや関わりの中でゴールが奪えた」と指揮官も手応えを示した。

2022.07

E-1制覇

東アジアのNo.1チームを決するEAFF E-1 サッカー選手権 2022 決勝大会は、国内でプレーする選手を中心に構成され、チームの底上げと大会連覇を目指した。池田太監督体制で初の国内試合は茨城県立カシマサッカースタジアムでの日韓戦。宮澤ひなた、長野風花のゴールで2-1の勝利し、続くチャイニーズ・タイペイ戦は4-1の逆転勝利を収め、引き分け以上で優勝が決まる中国戦に臨んだ。アジアカップ覇者の中国は勢いよく日本ゴールを襲うが、GK山下杏也加や清水梨紗を中心にこれをしのぎ、植木理子がクロスバーに直撃する惜しいシュートを放つも0-0で試合終了。日本の大会連覇は池田監督体制初タイトルとなり、大会ベストGK賞に山下、大会MVPに清水が選出された。大会後、池田監督は「これがすべてではなく、また一歩一歩前に進みたい」とさらなる高みを目指した。

2022.10

国内での親善試合、新ユニフォーム(ナイジェリア・ニュージーランド)

「若い世代の選手との融合も含め、新しい組み合わせを試合やトレーニングの中で試す」と意気込んだ池田太監督は、10月の2試合でこれまでの4バックに加え3バックも採用した。国際親善試合・ナイジェリア戦は9月に発表された新ユニフォームで初めて公式戦を迎え、熊谷紗希、三宅史織、高橋はなが3バックを形成。地元・神戸でプレーする田中美南が2得点を決める活躍で2-0と勝利する中、池田監督が準優勝に導いた8月のFIFA U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022メンバーから、藤野あおばと浜野まいかがデビューを果たし、続くMS&ADカップ2022ニュージーランド戦では17歳の小山史乃観も初出場。宮澤ひなたと植木理子のゴールで2-0と連勝し、池田監督は「全てが成功したわけではないが、新しいチャレンジへの取り組みや姿勢は評価できる」と模索を続けながら進化を目指すとした。

2022.11

強豪との親善試合(イングランド・スペイン)

近年成長著しいヨーロッパ勢を代表するイングランド、スペインとの国際親善試合のためスペインに遠征した。UEFA女子欧州選手権で初優勝したイングランドは素早いサイド攻撃で日本を苦しめ、イングランドでプレーする長谷川唯などが9本のシュートを放つも決定的なチャンスをつくり出せず、日本は0-4で完敗した。女子ワールドカップで同組のスペインとの一戦は前半立ち上がりに得点を許し、その後は苦戦を強いられながらも、田中美南、猶本光、藤野あおばが同点狙ったが1点が遠く0-1でスペイン遠征を2連敗で終えた。強豪との2連戦で引き続き3バックを採用した池田太監督は「(10~11月の)4試合でトライしたことは自分たちの成長につながると思う」と期待を込めて2022年最後の活動を締めくくった。

2023.02
2023

SheBelieves Cup

女子ワールドカップイヤーは、世界の強豪が集うアメリカでのSheBelieves Cupで幕を開けた。初戦のブラジル戦は多くの好機をつくりながらもそれを生かせず0-1で敗れると、続くアメリカ戦は25,471人の大観衆の中で試合開始。FIFAランキング1位のアメリカを押し込み、植木理子が次々にシュートを放ち、後半には長野風花がクロスバー直撃のシュートを放ったがゴールは遠く、前半のカウンターからの失点で0-1と惜敗した。最終戦は東京オリンピック金メダルのカナダ戦で、清家貴子の先制ゴール、長谷川唯のPKでリードすると、遠藤純の追加点で3-0と勝利。池田監督は同大会最高位の2位で終え、「選手たちは大会中に成長した姿を見せてくれた。ここをスタートとして女子ワールドカップへ準備を進めていきたい」と、本大会への試金石となる3連戦を振り返った。

2023.07

ワールドカップで優勝国スペインに勝利、ベスト8入り

出場チームが32に拡大したFIFA女子ワールドカップオーストラリア&ニュージーランド2023で、日本はグループステージでザンビア、コスタリカ、スペインと対戦した。初戦で宮澤ひなたが2得点を決めるなど5-0と完勝し、第2戦は今大会がワールドカップ初出場の猶本光、藤野あおばが得点して2-0と連勝。19歳の藤野が決めた得点はワールドカップで日本の選手が挙げた最年少得点記録となった。グループステージ首位通過を懸けたスペイン戦は日本の速攻が効果的に決まり、前半だけで3得点。後半には田中美南もゴールネットを揺らして4-0と快勝して首位となった。続くノルウェー戦も3-1で勝利し、欧州勢に連勝した日本は、準々決勝でスウェーデンと対戦。PKで先制点を許すなど苦戦し、終盤に林穂之香が追い上げるも1-2で敗れた。池田太監督は、「選手とチームが成長し、なでしこのサッカーを世界に示すことができたが、ここで敗れたのも事実」と、ベスト8敗退を受け止めた。キャプテンの熊谷紗希は「先に進むための何かが足りなかった」としながらも、「世界と(対等に)戦うなでしこジャパンを見せられた」とコメント。なお、日本はこの大会でフェアプレーを受賞した。同大会で優勝することになるスペインに完勝し、宮澤が5得点で得点王に輝くなど、日本がインパクトを残したことは間違いない。

2023.11

強豪との親善試合(ブラジル)

女子オリンピック サッカートーナメント パリ 2024 アジア2次予選を突破した日本は、2023年最後の活動としてブラジル遠征で2度の国際親善試合を行った。第1戦は、女子ワールドカップで主に採用した3バックから4バックに変更し、初選出の古賀塔子(当時17歳)がセンターバックを任され、熊谷紗希が中盤のアンカーに入る。藤野あおばのゴールで38分に先制した日本だったが、63分までに3失点して1-3と逆転された。その後、18歳(当時)の谷川萌々子も日本代表デビューを飾ると、遠藤純のPK、田中美南のダイレクトシュートが決まって3-3に。しかし試合終了間際に再び失点し、3-4と競り負けた。中2日の第2戦は先発5人を入れ替え、遠藤が蹴る右CKに南萌華が合わせて先制すると、その直後には田中(美)の2試合連続得点で2-0とした。後半、日本は3バックに変更し、石川璃音らがブラジルの攻撃を冷静に対処して無失点勝利。ブラジル遠征を1勝1敗で終え、池田太監督は「相手の変化にも対応しながら戦えたこと、そして勝利できたことは自信につながる。ブラジル女子代表と連続して試合できたことはオリンピック最終予選の良いシミュレーションになった」と、約3カ月後の一戦への手応えを得た様子だった。

2024.02
2023

パリオリンピック出場権獲得(朝鮮民主主義人民共和国)

朝鮮民主主義人民共和国(DPR Korea)とのパリオリンピック2024 女子サッカー アジア最終予選は、ピッチ内外で極めて難しい2試合となった。アウェイの予定だった第1戦の試合会場がなかなか確定せず、アジアサッカー連盟の通知を受け、会場となるサウジアラビア・ジッダに急きょ向かい、海外チームでプレーする一部の選手たちは現地で合流した。第1戦は気温31度の下で熊谷紗希、田中美南などが前半から積極的にシュート。後半はDPR Koreaが攻める時間もあったが、南萌華、高橋はなを軸に素早いカバーリングでシャットアウトし、0-0で第1戦を終えた。国立競技場での第2戦には20,777人の観衆が集まった。日本は2人を入れ替え、北川ひかると上野真実が先発出場。26分に高橋が先制すると、前半終了間際にはGKの山下杏也加がビッグセーブでチームを救った。後半は清水梨紗のクロスから藤野あおばがヘディングシュートを決め2-0に。DPR Koreaの猛攻を1点に抑えて2-1で勝利した日本が2大会連続6回目のオリンピック出場を決めた。池田太監督は「世界一を目指し、成長と強化を進めていきたい」と、パリオリンピックに向けてあらためて目標を掲げた。

2024.05

パリオリンピックメンバー発表前最後の親善試合(ニュージーランド)

パリオリンピックの登録メンバー18人を発表する前、最後の活動としてスペインに遠征し、ニュージーランドと2度の国際親善試合を行った。第1戦の序盤は守備の時間が長かったが、前半アディショナルタイム、清家貴子のパスから田中美南が左足でゴール。後半からGK大場朱羽がゴールマウスに立って日本代表デビューを果たした。後半立ち上がりには、北川ひかるのCKから古賀塔子がヘディングシュートを放って代表初ゴールを挙げ、その後も攻め続けた日本が2-0で勝利した。中2日で迎えた第2戦は先発7人を入れ替え、22分に先制点を奪われるも最前線の植木理子が果敢にゴールを狙い、右サイドの清水梨紗が攻め上がって攻勢を強める。後半から3人の選手交代を行い、投入されたばかりの浜野まいかが49分に同点とすると、60分にも浜野がゴールを奪い、2-1と逆転した。その6分後には藤野あおば、80分には千葉玲海菜が加点し、日本は4-1で勝利を収めた。池田太監督は「チームや選手の成長を見ることができた点が収穫」と振り返り、6月14日にオリンピックに臨むメンバー18人とバックアップメンバー4人を発表。なでしこジャパンは7月13日にガーナ女子代表との「MS&ADカップ2024 ~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~」を金沢ゴーゴーカレースタジアムで戦ったのち、25日(現地時間)にパリオリンピック初戦を迎える。

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