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ホーム > なでしこジャパン > 最新ニュース一覧 > フェアプレーの女王 ~いつも心にリスペクト Vol.156~

ニュース

フェアプレーの女王 ~いつも心にリスペクト Vol.156~

2026年05月25日

フェアプレーの女王 ~いつも心にリスペクト Vol.156~

3月1日から21日までオーストラリアの3都市を舞台に開催されたAFC女子アジアカップ。なでしこジャパン(日本女子代表)は期待どおりのプレーを見せ、6戦全勝で見事3回目の優勝を飾りました。

開催国オーストラリアとの決勝戦は、前半に浜野まいか選手が見事な先制点を決めたものの、後半はオーストラリアがパワープレーをかけて猛攻、終盤は防戦一方となりました。しかし全員の集中した守備で守りきり、1-0の勝利。6試合で得点29、失点わずか1という見事な「女王ぶり」でした。

得点王は植木理子選手(6得点)、ベストGKは山下杏也加選手。主催のアジアサッカー連盟(AFC)が選んだ大会MVPはオーストラリアのMFアランナ・ケネディ選手でしたが、私としては、なでしこジャパンの中盤で際だったプレーを見せた長野風花選手だと感じました。なでしこジャパンの強さをあらためて見せた大会でした。

しかしそれ以上に誇るべきものがあります。「フェアプレー賞」を獲得したことです。

「いつもどおり」と思われるかもしれません。しかしこの大会のなでしこジャパンの記録は際だっています。6試合を戦って、イエローカードがゼロだったのです。出場12チームの中で、唯一の記録です。

守備を固めることなく真っ向から挑んできたインドに対し、なでしこジャパンが全力で攻め、11-0という大差で勝った試合もありましたが、アジア全体の女子サッカーのレベルが上がり、思いがけなく接戦になった試合も数多くありました。全27試合で記録された総入場者数は35万8414人。1試合平均1万3275人、決勝戦は7万4397人がシドニーのスタジアムを埋め、どの試合も白熱したものとなりました。

しかし、喜ばしいことに大会を通じてレッドカード(退場)は1枚も出されず、イエローカード(警告)も総計62枚(1試合平均2.30枚)と、近年の国際大会としてはとても少なく、ハードながらもクリーンな印象のある大会だったと思います(ビデオアシスタントレフェリーの判定をめぐって少しもめた試合もありましたが……)。

なでしこジャパンのサッカーは「強度」が高く、相手陣から強くプレッシャーをかけてボールを奪い、ゴールに直結させようというものです。当然、接触プレーも多くなります。しかし、そうしたプレーをしながらもイエローカードはゼロ。それだけでなく、ファウルも非常に少なかったのです。

6試合で日本がファウルをとられたのは22回。1試合あたり3.67回という数字でした。ベトナムが3試合を戦ってファウル12回(1試合平均4回)という記録を残しましたが、全27試合を見ると、1チーム1試合あたりのファウルの平均は6.39回。なでしこジャパンの3.67回という数字は、ハードに守備をしてもラフではなく、守備技術と判断のレベルが非常に高かったことを証明しています。

特に驚くのは、終盤にあれほど押し込まれ、日本のゴール前をボールが往復することになった決勝のオーストラリア戦で、ファウルが90分間を通じてわずか1回しかなかったこと(相手のオーストラリアは6回)です。この1回は、後半17分に日本の攻撃からオーストラリアがカウンターに出ようとしたところを高橋はな選手が相手陣中央で止めてとられたものでした。

大柄な選手が増えてきたとはいえ、オーストラリアや欧米勢と比較すればまだ小柄な選手が多いなでしこジャパン。自陣でのファウルが多くなれば、それだけ直接的にゴールを脅かされることになります。そうした側面から見ても、この大会でファウルを犯すことなくしっかり守ることができることを確認できたのは、なでしこジャパンにとって大きな収穫だったのではないでしょうか。

「いつもどおりのフェアプレー賞」かもしれません。しかしその内容は、これまでになくコントロールの効いた、レベルの高いものだったのです。本当に見事な優勝だったと思います。

寄稿:大住良之(サッカージャーナリスト)

※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会機関誌『JFAnews』2026年4月号より転載しています。

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