2021.01.07
第29回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は大会3日目の1月6日(水)、準々決勝が行われ、ベスト4が出そろいました。
常盤木学園高校 1-3(前半0-2、後半1-1)大商学園高校
三木総合防災公園陸上競技場での第1試合では、常盤木学園高校(東北3/宮城)と大商学園高校(関西1/大阪)が対戦しました。開始早々に試合の主導権を握った大商学園は3分、中央から右へと展開すると、クロスを高木琳選手が押し込んで先制。3バックを敷く常盤木学園のウィングバックの背後を狙い、その後もサイドアタックで相手を圧倒します。30分には、左サイドに流れた高木選手が今度はクロスボールの供給役となり、ファーサイドで宮本妃菜里選手が追加点を決めました。前半だけでシュート11本という数字が大商学園の攻撃の充実ぶりを物語りました。
後半に入ると常盤木学園が反撃に出ます。サイドのスペースを突かれないような位置取りをして、攻めに移っては果敢に縦パスを入れるようになりました。大商学園の選手の間に山本結菜選手らが位置を取り、ボールを受けてリズムをつくり出します。すると後半に入って7分、大商学園は相手最終ラインのパスの乱れを逃さずボールを拾い、間髪入れずに送り込んだクロスボールを高塚映奈選手が冷静に蹴り込み、1点差に迫りました。
その後も常盤木学園が同点ゴールを目指してプレーを続けますが、シュートにつながる場面は多くありませんでした。一方の大商学園は守りに比重を置きながら、鋭いカウンターを繰り出していました。すると69分、自陣から素早く攻めに移った大商学園は、クロスから大住六花選手が再びリードを2点とするゴール。これが試合の流れをぐっと引き寄せ、大商学園がベスト4進出を決めました。
開志学園JSC高等部 1-2(前半0-2、後半1-0)帝京長岡高校
三木総合防災公園陸上競技場での第2試合では、同県の開志学園JSC高等部(北信越2/新潟)と帝京長岡高校(北信越1/新潟)が、互いに初の4強進出を懸けて激突しました。序盤に優勢だったのは帝京長岡でした。個人の高いキープ力に加えて、選手同士が近い距離を保ち、ボールを動かしました。対する開志学園は慌てずに守り、ボールを持つとセットプレーでも両足から正確なキックを披露する稲村雪乃選手のロングパスで素早く攻めます。試合が動いたのは34分でした。相手陣でボール保持者に圧力をかけた帝京長岡FW末次結依選手は、そのままボールを奪取。すぐさま攻撃に移ると、ゴール右からGKの位置をよく見てファーサイドに見事なシュートを決めました。その後もサイドへの速い展開でチャンスを作る帝京長岡は、前半終了間際に左クロスを末次選手が押し込み、リードを広げてハーフタイムに入りました。
点差を広げた帝京長岡は開志学園のキープレイヤーである稲村選手へのマークをさらに強化しました。ほぼマンツーマンのように辻原莉音選手が目を光らせるなど、少し選手たちの位置取りを変えて勝利をつかみにかかりました。
わずかな姿勢の変化が試合の流れを変えたのか、追う開志学園は守備でも果敢にプレッシャーをかけ、攻撃でもどんどんボールをつなぐようになりました。すると後半開始から7分後、縦パスを受けた北沢明未選手が長いループシュートでGKの頭上を抜き、1点を返しました。
その2分後には、稲村選手が長いFKを直接ゴールの枠内に飛ばし、帝京長岡の守備陣を慌てさせました。攻守にわたって両チームとも懸命に走り、戦います。68分には帝京長岡のシュートが枠を越え、残り5分の場面では開志学園のシュートがクロスバーをたたきました。緊迫した試合は選手交代も難しく、点差も動かないまま帝京長岡が逃げ切り、初の準決勝進出を果たしました。
岡久奨 監督(大商学園高校)
相手の試合の映像を見て、3-4-3のフォーメーションのサイドのスペースを突く意識を共有していたので、そこをうまく狙えていました。でも、前半であと1、2点取っておきたかったなという気持ちもあります。後半は点を取られて、気持ちが少し引いたのかなという印象がありました。相手の動きが変わった時に対応しきれない部分がありましたが、そこはまだ成長できる点なのかなと思います。大会前から日本一だけを狙ってきましたし、選手たちも「負ける気がしない」と強気です。頼もしいのですが、そこで落とし穴に落ちないよう気をつけつつ、もっと選手たちの良さを出させてあげたいです。
松野智樹 監督(帝京長岡高校)
開志学園とは県と北信越の決勝に続き、今季3度目の対戦でした。過去数年、いつも延長に入るなど僅差の戦いで、今日もPK戦も覚悟していました。前半に2点取れたものの、勝ちたい気持ちが前に出過ぎて自分の役割を見失うかもしれないと、むしろ難しい展開になったなと思いました。それでも1点取られた後に修正して、勝ち切ることに徹底してくれました。男子サッカー部も全国ベスト4に進んでいます。ここまで来られたのも、いつも堂々とプレーする男子を見ているおかげです。やっと追いつけたので、明日は逆に私たちが先に勝ち進んで、男子に勇気を与えたいですね。
大会期間:2021年1月3日(日)~2021年1月10日(日)
大会会場:三木総合防災公園(兵庫県三木市)、五色台運動公園(兵庫県洲本市)、いぶきの森球技場(兵庫県神戸市)、ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)