アクセス・フォー・オールハンドブックテキスト パート4 今後のアクションプラン 【45ページ】 今後のアクションプラン アクセス・フォー・オールの考え方を広く浸透させ、サッカーへのアクセスが阻害されている人達の存在に気づいていただけるよう啓発していきます。多くの気づきから課題解決につながるアイデアや施策を好循環させ、誰もがサッカーにアクセスできる社会の実現に向けて取り組みを進めます。 【46ページ】 全体像  「アクセス・フォー・オール宣言」を皮切りに、ハンドブックの配布やシンポジウム等を活用することでアクセス・フォー・オールの考え方について啓発するとともに、競技会や指導者講習会等各事業を活用した推進活動を行っていきます。それらの啓発活動を通してサッカーファミリーにアクセス・フォー・オールの考え方を浸透させることで、「多様なサッカーファミリーと楽しむのが“当たり前”」となるような状態を目指します。また、個別の課題についてはワーキンググループでの議論を開始し、関係部署・組織と連携して、課題解決に向けた取り組みを実施していきます。 アクションプラン@ 共同宣言宣言する!  日本サッカー協会(JFA)は2024年4月18日、「アクセス・フォー・オール宣言」を発表しました。JFA、Jリーグ、WEリーグ、Fリーグ、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)等加盟団体が連携し、共同宣言を行うことでサッカー界全体で取り組むという意思表示を行い、社会へ向けてその考え方を発信しました。47FAや連盟、各クラブの皆さんも、ぜひ賛同し、参加していただきたいと思います。「アクセス・フォー・オール宣言」が浸透し、人々の暮らしに根づいていくことが重要です。好事例の共有や定期的なモニタリング、必要に応じて更新していきます。 アクションプランA 啓発活動 気づきを持つ アンテナを立てる! サッカーに関わるあらゆる機会を活用し、アクセス・フォー・オールの認知度を高めることで、アクセスが阻害されていることに気づいていない人に気づいてもらうべく、啓発を進めていきます。毎年4月をアクセス・フォー・オール月間とし、そこで認知を高め、取り組み好事例を共有する等、さらなる発展への機会とします。 (例) ●AfAガイドライン/ハンドブックの制作・配布 ●試合会場でのフラッグ掲出、動画上映 ●シンポジウム/ワークショップ等の開催 ●パートナーとの共創 ●取り組み事例の集約と発信 アクションプランB 事業を通じた推進 実際に取り組んでいく! ママ・パパ、障がい者(とその家族)、外国人等多様な人々が大会や講習会に参加しやすくなるような情報発信や、実際に参加できるような環境の整備を進めます(必要に応じて、大会参加規則や登録規則の改定を検討します)。また、パートナー企業と連携し、社会課題の解決に向けた取り組みを共同で実施します。全国で、それぞれの立場や役割に応じて、持続可能な方法を探っていきます。 (例) ●各種大会への参加ー規程の緩和・イベント創出等 ●指導者講習会や審判講習会へのための合理的配慮 ●パートナー企業との共創事業 アクションプランC 個別課題の検討 個別課題に取り組む! それぞれの分野で発生している個別課題の解決に向けては、分科会を設け、制度改革等が必要なものに関しては個別に対応策の検討を開始します。JFAは、統括団体として規程の策定・変更の検討、柔軟な運用を促進するガイドラインの提示、地域や公共サービスとの連携等を行っていきます。 (例) ●競技参加のあり方に関する登録制度や大会規程の検討 ●障がい者のスタジアムアクセシビリティの改善の検討 【49ページ】 今後の施策展開方針とタイムライン  2024年4月の宣言後、まずはJFA役職員、Jリーグ、WEリーグ、Fリーグ、JIFF、47FAの役職員向けワークショップを実施し、理解浸透を図るための活動を開始しました。また、9月のリスペクトフェアプレーデイズのリスペクトシンポジウム第2部で広く社会に発信しました。JFA.jp、JFAnews、テクニカルニュース等でも発信しています。これは一過性のものではなく、JFAの実現に向けて時間をかけて文化を変えていくという息の長い取り組みとなります。今何ができているかということではなく、まずは気づくこと、皆さんの場やサッカーとの関わりに応じて、急がず、一つひとつ探っていくことで、「多様なサッカーファミリーと楽しむのが“当たり前”」となるような状態を目指していければと思います。今後、それぞれの活動を集約し、皆さんの参考になる好事例を示していきます。また、社会の変化、世界のスポーツ界の変化等に応じて検討を重ねていきます。 【50ページ】 おわりに  アクセス・フォー・オール宣言では、誰もが当たり前にサッカーのする、見る、関わるにアクセスできる多様な「機会」と「選択肢」を持続的に届けることで、豊かなスポーツ文化と共生社会を実現するとしています。これは、日本サッカー界の指針です。少し噛み砕いていえば、私達サッカー界は、この宣言に基づいて、ひとりでも多くの人にサッカーを届けて(デリバリー)いきますよ、と意思表示をしたということになります。  このアクセス・フォー・オール宣言は、JFA2005年宣言に示されたJFAの理念、「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」に基づいています。2014年のJFAグラスルーツ宣言では、年齢、性別、障がい、人種等に関わりなく、だれもが、いつでも、どこでもと謳い、あらゆる層とサッカーの素晴らしさをわかちあうことの重要性が示されました。2020年のJapan’sWayでは、「世界一サッカーで幸せな国へ」と「ダブルピラミッド」が示されました。アクセス・フォー・オールはこれらのJFAの指針と関連しつつ、さらに人権に特化し、グラスルーツからエリートレベルまで、する・見る・関わることにもっと多くの人がサッカーにアクセスできることをサッカー界のあたり前にという意味としました。  サッカーが明日いきなり文化になることはありません。文化になるには多くの人にサッカーがそこにあることが当たり前となること、日常化することが重要になります。しかし、私達サッカー界は、そこにサッカーをしたい、見たい、関わりたいと思っている人を忘れている、またはいないと思い込んでいませんか。どうせ興味がないだろうと思っていませんか。未来のサッカーファミリーがそこにいるかもしれないのです。単発に考えるのではなく、時間をかけてサッカー界の指針として皆さんと共有することで、「JFA2050宣言」に示された約束を皆さんで一緒に実現していきましょう。今回、ハンドブックをまとめる作業を経て、LGBTQ+の方、貧困問題に直面している方に対して、サッカー界の取り組みが遅れていることもワーキンググループとしてあらためて理解しました。このハンドブックの次の改訂版に向けて、ひとつひとつ誰もがサッカーにアクセスできる未来につなげることができればと思います。このハンドブックがその一助となることを期待しています。    アクセス・フォー・オールワーキンググループ一同